【プロが暴露】引越しトラブル事例集!業者目線で語る「失敗しない」ための防衛策

「引越し費用をとにかく安く抑えたい」
そう思って一括見積もりサイトやくらしのマーケット等の比較サイトを利用し、一番安い業者に頼もうとしていませんか?
ちょっと待ってください。実は、私たち業界関係者からすると、「安さの裏には理由がある」ことがほとんどです。
2024年から続く物流業界の人手不足や燃料費高騰により、2025年現在、引越し業界はかつてないほど「質の二極化」が進んでいます。
信頼できる優良業者と、安さだけで勝負しトラブルを頻発させる業者の差が開いているのです。
今回は、あえて「引越し業者側の視点」から、実際に現場で起きたトラブル事例を包み隠さずお話しします。
これを知るだけで、あなたの引越しリスクは激減するはずです。
1. なぜ引越しトラブルはなくならないのか?(2025年の現状)
トラブル事例を見る前に、背景を知っておきましょう。
現在、引越しトラブルが増加傾向にあるのには、明確な理由があります。

Web完結見積もりの弊害: 訪問見積もりをせず、WEB、LINE、Zoomだけで荷物量を判断するケースが増加。
結果、当日に「貨物車に積みきれない」トラブルが多発しています。現場経験が豊富な営業マンであればかなり見積り精度が高いのですが、最近は人手不足問題もあり現場経験のない営業マンも増えております。

人手不足とアルバイト依存: ベテラン社員が不足し、派遣、タイミー、日雇い、日本の文化を理解してない外国人のアルバイトなど、経験の浅いスタッフだけで作業する現場が増えています。
「標準引越運送約款」の認識不足: 国土交通省が定めるルール(約款)を、業者も利用者も把握していないケースがあります。
2. 【金銭編】見積もりと違う!追加料金トラブル事例
業者として最も心苦しいのが、当日の追加料金請求です。
しかし、これには「やむを得ない理由」があることも多いのです。
事例①:Web申告よりも荷物が大幅に多かった
状況: 比較サイトから申し込み。「ダンボール10箱」と申告があったが、当日は20箱あり、自転車も追加されていた。
結果: 用意した軽トラックに乗らず、往復作業となり2万円の追加料金が発生。
【業者目線】 料金を抑える為にトラックのサイズはギリギリで手配します。
申告外の荷物は「魔法のように」積むことはできません。荷物内容に変更がある場合は早めの連絡を。
事例②:タワーマンションの養生ルール違反
状況: 格安業者に依頼。当日、マンション管理会社から「防災センターへの届出がない」「エントランスの養生(保護)が不十分」と作業ストップをかけられた。
結果: 適切な資材を取りに帰る時間ロスと、追加の人員が必要になり、数万円の追加請求&引越し完了が深夜に。
【業者目線】 格安業者は「養生費」を削って安く料金設定してあります。厳しいルールのあるマンションでは命取りです。管理者に事前の確認を。
事例③:エアコン工事の隠れた費用
状況: 「エアコン脱着込み」のパック料金で依頼。しかし当日、ホースの劣化やパイプの長さ不足が判明。
結果: 部材代として1万5千円を現金で請求された。
【業者目線】 エアコン工事は下請け業者が行うことが多く、基本料金以外の「部材代」は現場での実費になるのが業界の常識ですが、説明と認識不足の営業マンが多いのも事実です。
事例④:待機時間の発生
状況: 新居の鍵渡しが遅れ、引越しトラックが到着しても部屋に入れない状態が2時間続いた。
結果: 待機料を請求された。
【業者目線】 標準引越運送約款では、荷受人の都合で待機した場合、待機料を請求できる権利が認められています。次の現場に遅れるため、業者としては死活問題です。鍵は事前の受け取りをしましょう。
【破損・紛失編】大切な家具が…補償をめぐるトラブル事例
「荷物を壊された!」とお怒りになる気持ちは痛いほど分かります。しかし、「梱包不備」が原因が意外に多くあります。
事例⑤:自力梱包のダンボール底抜け
状況: 顧客が自分で梱包したダンボール(本が満載)をスタッフが持ち上げた瞬間、底が抜けて中の食器が割れた。
結果: 補償対象外となった。
【業者目線】 お客様ご自身での梱包(不十分なテープ止めや詰めすぎ)による破損は梱包の不備になるので、基本的に業者の責任になりません。梱包がムリなら料金は跳ね上がりますが業者に依頼しましょう。
事例⑥:パソコンの内部データ破損
状況: 外傷はないが、引越し後にPCを起動したらハードディスクが壊れていた。
結果: 補償不可。
【業者目線】 パソコンやピアノなどの精密機器は、振動だけで壊れる可能性があります。外見に傷がない場合、「引越しが原因」と証明するのが難しく、約款上も内部データの補償は免責(責任を負わない)となっています。皆さんは昔に撮影したスマホの画像データが破損してたことはないでしょうか?それと同じでデジタルのデータは意外に脆いです。大事なデジタルデータ関係は必ずバックアップが必要です。
事例⑦:IKEA家具の分解・再組立拒否
状況: 大型ベッドの解体を依頼したが、当日スタッフに「これは運べません」と断られた。
結果: その家具だけ置いていくことになった。
【業者目線】 海外製の家具によくあるのですが一部の組み立て家具(特に木ネジを直接打ち込むタイプ)は、一度分解すると強度が落ちて再組立できないため、多くの業者が取り扱いを敬遠します。見積もり時に申告が必要です。
事例⑧:既にあった傷か、新しい傷か
状況: 新居のフローリングに傷を発見。「業者がつけた」と主張したが認められなかった。
結果: 泣き寝入り。
【業者目線】 作業開始前に、元々ある傷をお客様と一緒に確認する(現況確認)。傷があればスマホなどで撮影しておく。証拠がない限り、水掛け論になってしまいます。
4. 【作業・遅延編】プロ失格?悪質業者のトラブル事例
ここからは、明らかに業者側に非がある、避けるべき悪質パターンの事例です。
事例⑨:午後便が夜中になっても来ない
状況: 「午後フリー便(時間は業者任せ)」で契約。夕方に来るはずが、到着したのは夜22時。終了は深夜2時に。
結果: 近所迷惑になり、翌日菓子折りを持って謝罪に回る羽目に。
【業者目線】 無理なスケジュールを組む業者の典型です。特に繁忙期は素人作業員とムリなスケジュールがセットされてます。前の現場が押せば、玉突き事故のように遅れます。「フリー便」は安さの代償として時間遅延のリスクがあることを理解する必要があります。
事例⑩:積み残し(トラックに入りきらない)
状況: 訪問見積もりをしたのに、当日トラックが小さすぎて荷物が乗り切らなかった。
結果: 業者が「お客様の荷物が増えたせいだ」と責任転嫁し、残った荷物を自分で運ぶことに。
【業者目線】 訪問しているのであれば完全に営業担当の見積もりミスです。しかし、悪質な業者は非を認めません。「積みきり契約(乗る分だけ運ぶ)」になっていないか、確認が重要です。もし積みきりで依頼してるのであれば自家用車やレンタカーなどを利用して残った荷物を運べる方法を予め確保しておきましょう。
事例⑪:スタッフの態度が最悪・私語が多い
状況: スタッフ同士が作業中に喧嘩を始めたり、部屋の中で大声で私語をしたりする。
結果: 恐怖を感じた。さらにトイレを無断で借用された。
【業者目線】 社員教育が行き届いていない証拠です。特に繁忙期(3月〜4月)の短期アルバイトが多い現場で起きがちです。これからは外国人スタッフも増えてくると予想されますので質は下がるでしょう。ベテランスタッフを希望するなら閑散期をおすすめします。
5. トラブルに巻き込まれないための「自己防衛策」
これらの事例を踏まえ、プロとしておすすめする「トラブル回避術」は以下の通りです。
見積もりは「正直」に詳しく伝える
少しでも安くしたいからと荷物を少なく申告するのは逆効果です。
自転車、観葉植物、衣装ケースの数まで正確に伝えましょう。Web見積もりなら写真を添付するのがベストです。
貴重品と精密機器は自分で運ぶ
現金、通帳、宝石、PCのデータは補償対象外です。これらは必ずハンドキャリーしてください。
作業完了のサインは慎重に
大手引越し業者は作業終了後にサインを求められますが、これは「問題なく終わりました」という証明書です。サインをする前に、家具の配置や大きな傷がないか、トラックの中に積み忘れがないかを確認しましょう。
結論:安さだけで選ぶと、結局「高くつく」可能性がある
数千円の差で業者を選んだ結果、家具を壊されたり、精神的なストレスを抱えたりしては元も子もありません。
私たち「引越し業者」が見ても、「その金額では絶対にまともな作業はできない」という見積もりを出す業者は存在します。
トラブルを避けるためには、以下のステップを踏むことを強くおすすめします。
相見積もりをとる(2〜3社程度): 極端に安い業者、高い業者を除き、平均的な価格で、かつ「電話やメールの対応が丁寧な業者」を選んでください。対応の良さは、当日の作業品質に直結します。
口コミを確認する: 最近は引越し料金を値引きするかわりに良いクチコミを求める業者が増えてきてるのであまり参考になりません。「悪い口コミ」の内容(遅刻、破損時の対応)をチェックし判断しましょう。よく引越しをしている知人から情報収集をするのも一つの手です。
素晴らしい新生活のスタートを切るために、価格だけでなく「安心」を買うつもりで業者を選んでみてください。
ご拝読ありがとうございました。

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